「空。おい、そーらー。」

小声で話してくる陸。
毎度のごとく、俺は無視して読書することにした。

「あ、海ちゃん。」

…は?なんで北野が?

「今、ちょっと反応した?」

…はぁ。

「…何だ。」

俺は本を閉じて陸を見る。

「まぁまぁ、海ちゃんの話だから。
ね?『そらくん』」

「君付けやめろ、気持ち悪い。」

陸の『そらくん』に、寒気がした。

「口が悪いと、海ちゃんに嫌われちゃうぞ、『そらくん』。」

こいつ…ついに頭が壊れたのか?

「不機嫌なのは分かるし、俺は馬鹿じゃないからな。
ちゃんと思惑があっての行動だ。」

思惑があるって言ってしまうのは、やはり馬鹿だからじゃないのか?