「…新入生だよね。
名前、聞いてもいいかな?」

少しして、先輩が話し始めた。

「北野海です。
…あの、先輩は?」

「え?」

「あっ、先輩の名前は何ですか?」

そう言うと、
先輩は少し驚いた顔をした。

何かまずいこと言ったかな…。

自然とうつむいた。

「…俺は高野陸って言うんだ。」

顔を上げると、先輩は微笑んでいた。

「陸先輩、ですか?」

「うん、そうだよ。
これからよろしくね、海ちゃん。」

「…?はい。」

そんなやりとりをした後、
先輩は走って行ってしまった。


陸先輩って、
笑顔が凄く似合う先輩だなぁ。

私は遠くなる後ろ姿を見ながら、
そう思った…。