「そんな顔しないで。」

泣きそうになる私を見て、先輩は私の頭を撫でた。

私が先輩に慰められてどうするんだと思ったけど先輩には何も言えなかった。

「俺、また良い子探すよ。」

その言葉に、水月の顔が浮かぶ。

「…先輩はもっと周りを見たほうが良いですよ。」

自分を犠牲にしてまで好きな人の幸せを願った、強い女の子が側にいるから…。

「その台詞、前に友達に言われた…。
どうして皆、俺に同じことしか言わないんだろうね。」

「あ、すいません!そんなつもりじゃなかったんですけど、つい…」

先輩は、ハハ…と乾いた笑いをこぼす。