水月の体が一瞬ビクッと震える。

「水月は…陸先輩は、私が先輩を好きじゃないのに付き合ったら嬉しいの?
そう言ってるの?」

念を押す。

…ってる…と水月が何か呟く。

「おかしいのは分かってるよ!でもそうしなきゃ、辛くて苦しいまま!先輩も…あたしも!」

「!」

「あたしが苦しむのは大丈夫、先輩が喜んでくれるなら。だけど…」

水月の目には涙が浮かんでいる。

「先輩が苦しむ姿は…あたし、見たくなかったんだよぉ…。海、ごめんね。」

俯きながら呟くそのセリフは、多分、一番の本音。

小さかったけどしっかりと耳に届いた。

私が水月を…先輩を苦しめてたんだね。