「おい、起きろよ。」

んー…?

「あ…つばき、さん?
おかえりなさい…。」

「確かに帰ってくると言ったが、ここで寝るな。病み上がりなのにまた風邪をひく。ほら…教科書。」

…あれ?
教科書…みつかったんだ!

「…ありがとう、椿さん。」

椿さんに笑いかける。

「お前、苗字は?」

「…北野です。」

「そうか、北野。」

ん?

「なんで苗字だけなんですか?」

「面倒だから名前は覚えない。
苗字で十分。」

「そうなんですか。」

変なの、と思って私は笑った。

「送る。」

「近いから大丈夫ですよ。」

「俺もここら辺だから、ついでだ。」

じゃあ…お願いしようかな。