【傍観者side】

なんとかしなければ…彼からそんな想いが伝わる。

倉庫から急いで下りて、メガネを外して後に長い前髪を両脇にかけた。

風を受けた椿の木は、その顔を見て驚いたようにざわめく。

自分は学校で素顔を見せたことはあったか…そんなことを彼は考えていない。

『走るのに邪魔だからどかした』という顔をしている。

しかし…目は真剣だった。

そして、すぐに彼女が歩いて行った方向に走っていった。

彼が動いたのは罪悪感からか、使命感からか、それとも…。