吸血男子

 焦ってる海斗君と裏腹に平然としている理事長の顔がぼやけて見える。



「治せますか?」

「任せなさい」



 パアッと明るい光を手から出した理事長は私の頭に光を当てた。




 温かい……。




「もう大丈夫よ」

「助かりました」




 海斗君にもたれかかりながらお礼を言った。





「美梨亜ちょっと休んでろ」


 そう言った海斗君は理事長と何かを話してたみたい。




「終わった…?」

「あぁ。西野の退学が決まった」

「え!? そこまでしなくても…」

「大丈夫だ。あいつ元々留学が決まっててもうすぐ発つ予定だったからイギリスに行くらしい」

「そう…」



 保健室のベッドに寝かされた。



 微笑みながら私のけがしていた部分をゆっくりと撫でる海斗君。



「今回は散々だったな…」



 海斗君の心地よい声に眠気が襲ってきた。



「眠いか? ちょっと寝てろ。また放課後来るから」



 そう言って保健室から出ていった海斗君。