「だってさー、黒川先輩って特別可愛いってわけでもなくない?」



 ドキリとした。



「しっ、聞こえちゃうよ」

「でもさ、会長ならもっといい人いるって。私のほうが可愛いじゃん?」



 3人ぐらいで話してる女の子たちはこっちをちらちらと見ながらぼそぼそと言ってる。





 全部聞こえてる。




 全部知ってるんだよ?




 私が海斗君とお似合いじゃないってことくらい。





 実際、前に座ってる後輩の子のほうが可愛い。




 生徒会長なんて海斗君にやらせるんじゃなかった。




 …こうなると自分の腹黒い部分が見えてきちゃう。




「正直言って、不細工だよね。黒川先輩」

「ぶっ(笑)…正直い過ぎでしょ」




 海斗君の好きなものを一番多く知ってるのは私でありたい。




 嫌いなものも、仕草も、特技も、趣味も…全部私が理解していたい。





 負けたくない。