吸血男子

「海斗君はこれを悩んでたんだよね…?」

「え…あぁ。そうだ」

「私…最低だ」



　美梨亜?



　ソファに座りあのとき見せた同じような悲しい顔でそう言った。




「私ね、海斗君と知らない女の人がマンションの前で話してるの見ちゃって…」

「なんだそれ」

「今日買い物行く前に…」

「えー…っと…あぁ!!　あれな、病院の看護婦さんだから。背中診せに行ったら診察券渡すの忘れられてて、届けてくれた」


「そっかぁ…」




　痛みは今だいぶ落ち着いてる。




「今日の帰りも何してたか聞いてもいい?」

「時哉の彼女がモンスターか調べてた」

「え?」

「時哉に頼まれたんだ。結局、人魚だった」

「そっか…てか時哉君彼女いたんだ」




　どんどん美梨亜の顔が明るくなっていった。





　悩んでることを話さないとこんなことにもなるんだ。





「心配させて悪かったな…」

「ううん、疑ってて…ごめんね?」

「大丈夫だから…」



　美梨亜を抱きしめて安心させた。




　ごめんな、俺…鈍感で。心配かけて。