天体観測

「まさか、神目薫までが絡んでたなんてな……何でわかったんや?」

マスターが言ったとき、母さんの怒りは鎮まっていた。むしろ、誰よりもそのことを聞きたがっているような、そんな様子すら見受けられた。

「全くの偶然だよ」

「そんなわけないやろ」

「相手の言っていた内容を掘り返したら、そういう結果になったんだ」

「そうやとしても、何らかの確信がないとあかんやろ」

「彼女が、思ったことをすぐ口にするタイプだってことだよ」

三人は、一様にわけがわからないといった顔をした。でも、これは間違っていない。発言の穴以外には、核心と呼べるものは、これしかないんだ。

「これで収賄事件は解決したの?」と、母さんが興奮気味に言った。

「たぶん。まだ関係者がいたとしても、芋づる式に見つかっていくさ」

「まるで、推理小説みたいだわ」

「何一つ推理なんて高等なものはしてないけどね」

「犯人を二人も見つけたじゃない」

「僕がやったのはただの揚げ足取りさ。記憶力の問題だ」

「でもいいじゃない。結果がよければ。」

「問題はむしろここからだよ」

母さんは、ぽかんとした顔をして、それ以上何も言わなかった。自分以外の三人の空気を読んだからだろう。

「真澄、ぼちぼち行こか。」

「何処によ」

マスターが、母さんの耳元で何かを囁いた途端、その母さんの耳が真っ赤になった。

「もう、バカね」と、言って母さんは立ち上がった。

「じゃあ行ってくるわ。結果は、後日教えてくれ」

二人は並んで玄関に行き、そそくさと出ていった。