「何をいきなり」
「あら、言葉とはいつも唐突かつ意外性に溢れるものだわ」
「そうですか」
「あなたのそのバイタリティーってどこから湧いてくるの?その事故に遭った人が恋人とか?でも隆弘とか言ってたわね。じゃあ何かしら……まさかゲイ?」
人は、こういうときにこそ呆然とするべきなのだろか。一方的に吐き出される言葉をただ黙って聞いておく。それが一番迅速で効率的なのは僕もわかっていた。けれど、気付いたときはもう遅かった。僕は自分でも意外な言葉を口にしていた。
「僕の大事な人の弟です」
「大事な人?その人が恋人なのね」
「そんな巷に溢れている言葉では表せません」
「じゃあ何なのよ」
こういうときには本音を語らずにはいられなくなる。自分でも止められない。きっと今この場で僕が死んだとしても、口だけが別の生命体か何かになって、語りきってしまうだろう。何が僕のリミットを解除したのかわからない。けれど、たしかに僕の中の何かが音もたてずに崩れていった。僕は言った。言ったんだ。おそらく誰にも知られていない本音を。僕自身も知らなかった本音を。神目薫に。
「好きなんですよ。どうしようもないくらい。自分でもバカじゃないかと思うくらいね。広芝と付き合っていたときだってそうだった。何やってるんだろうって、ずっと思ってたんだ。何で僕の隣にいるのが恵美じゃなくてお前なんだって。この世に神様って存在がいるならば、何でこんなに不平等なんだって。世の中には好きな人と結ばれて、死んでいく人間が数え切れないほどいる。でも、僕はきっとそんなこと出来ない。一人、恵美の幻影を抱いて死んでいくんだ。惨めで仕方ない。けど、どうしようも出来ないんだ。これが僕なんだ。変えることなんて出来ない。だから、僕は最後に恵美の為に何かしてやりたいんだよ。それはきっと真相を究明することなんだ。それが叶ったら、僕は死んだっていい。消えてしまってかまわない」
僕は一気に言った。それこそ、神目薫に介入する暇を与えないくらいだった。その間、神目薫は静かに聞いていた。コーヒーも口にはしなかったし、咳き一つもしなかった。
息すらしていなかったかもしれない。
僕らの間に、如何ともし難い空気が流れる。
僕は黙って俯き、自発的に流れる涙を拭うのに必死だった。
「あら、言葉とはいつも唐突かつ意外性に溢れるものだわ」
「そうですか」
「あなたのそのバイタリティーってどこから湧いてくるの?その事故に遭った人が恋人とか?でも隆弘とか言ってたわね。じゃあ何かしら……まさかゲイ?」
人は、こういうときにこそ呆然とするべきなのだろか。一方的に吐き出される言葉をただ黙って聞いておく。それが一番迅速で効率的なのは僕もわかっていた。けれど、気付いたときはもう遅かった。僕は自分でも意外な言葉を口にしていた。
「僕の大事な人の弟です」
「大事な人?その人が恋人なのね」
「そんな巷に溢れている言葉では表せません」
「じゃあ何なのよ」
こういうときには本音を語らずにはいられなくなる。自分でも止められない。きっと今この場で僕が死んだとしても、口だけが別の生命体か何かになって、語りきってしまうだろう。何が僕のリミットを解除したのかわからない。けれど、たしかに僕の中の何かが音もたてずに崩れていった。僕は言った。言ったんだ。おそらく誰にも知られていない本音を。僕自身も知らなかった本音を。神目薫に。
「好きなんですよ。どうしようもないくらい。自分でもバカじゃないかと思うくらいね。広芝と付き合っていたときだってそうだった。何やってるんだろうって、ずっと思ってたんだ。何で僕の隣にいるのが恵美じゃなくてお前なんだって。この世に神様って存在がいるならば、何でこんなに不平等なんだって。世の中には好きな人と結ばれて、死んでいく人間が数え切れないほどいる。でも、僕はきっとそんなこと出来ない。一人、恵美の幻影を抱いて死んでいくんだ。惨めで仕方ない。けど、どうしようも出来ないんだ。これが僕なんだ。変えることなんて出来ない。だから、僕は最後に恵美の為に何かしてやりたいんだよ。それはきっと真相を究明することなんだ。それが叶ったら、僕は死んだっていい。消えてしまってかまわない」
僕は一気に言った。それこそ、神目薫に介入する暇を与えないくらいだった。その間、神目薫は静かに聞いていた。コーヒーも口にはしなかったし、咳き一つもしなかった。
息すらしていなかったかもしれない。
僕らの間に、如何ともし難い空気が流れる。
僕は黙って俯き、自発的に流れる涙を拭うのに必死だった。


