ふと窓の外を見ると、見事なまでの色だった。夕陽の赤とも、草木の緑とも違う、独創的な色。圧倒的な存在感がそこにはあった。僕は思わず立ち上がり、庭に面している窓を開けた。
「すばらしいですね」
神目薫は何がすばらしいのか全くわかっていない声で、「そう?」と疑問の言葉を投げかけてきた。
「しょせん、悪事で稼いだ金の産物だわ。たしか庭は半年くらい前にすべて植え替えたから」
「この風景のためなら、やってしまう気持ちがわかる気がします。大阪でこんなものが見れるなんて夢にも思わなかった」
「全部あの長雨のおかげだわ」
「そうですね」と僕は頷いて、窓を閉めた。そして振り返り、言った。
「やっぱり収賄事件と事故とは関係があると見ていいようですね」
「断言は出来ないわ」
「あなたが見た談合と、隆弘が遭った事故。タイミングが良すぎます。関係がないと言い切るほうが難しい。悪魔の証明ですよ」
「何よそれ」
「あることをあると証明するよりもないことをないと証明する方が難しい。そういうことです」
神目薫は「さっぱりだわ」と言って、キッチン向かい、またあのひどい味のコーヒーを片手に持って戻ってきた。『やばいよ。逃げろ』と、僕の中の何かが囁いたけれど、僕が出来る精一杯はただ黙って、半透明の液体を凝視することだけだった。
「心配しなくてもあなたのじゃないわ」
僕は心の中で安堵のため息をついた。彼女は一応、コーヒーの味を理解している。理解した上で飲んでいる。僕には彼女がすごく庶民的で、ある意味僕よりこの家には相応しくないんじゃないかと思えた。
「あなたってすごく面白い人ね」と神目薫は唐突で、脈絡のない言葉を発した。
「すばらしいですね」
神目薫は何がすばらしいのか全くわかっていない声で、「そう?」と疑問の言葉を投げかけてきた。
「しょせん、悪事で稼いだ金の産物だわ。たしか庭は半年くらい前にすべて植え替えたから」
「この風景のためなら、やってしまう気持ちがわかる気がします。大阪でこんなものが見れるなんて夢にも思わなかった」
「全部あの長雨のおかげだわ」
「そうですね」と僕は頷いて、窓を閉めた。そして振り返り、言った。
「やっぱり収賄事件と事故とは関係があると見ていいようですね」
「断言は出来ないわ」
「あなたが見た談合と、隆弘が遭った事故。タイミングが良すぎます。関係がないと言い切るほうが難しい。悪魔の証明ですよ」
「何よそれ」
「あることをあると証明するよりもないことをないと証明する方が難しい。そういうことです」
神目薫は「さっぱりだわ」と言って、キッチン向かい、またあのひどい味のコーヒーを片手に持って戻ってきた。『やばいよ。逃げろ』と、僕の中の何かが囁いたけれど、僕が出来る精一杯はただ黙って、半透明の液体を凝視することだけだった。
「心配しなくてもあなたのじゃないわ」
僕は心の中で安堵のため息をついた。彼女は一応、コーヒーの味を理解している。理解した上で飲んでいる。僕には彼女がすごく庶民的で、ある意味僕よりこの家には相応しくないんじゃないかと思えた。
「あなたってすごく面白い人ね」と神目薫は唐突で、脈絡のない言葉を発した。


