天体観測

「私?言ってることが支離滅裂だわ。私は関係ないって言ったじゃない」

「僕もそう思います」

神目薫は訝った様子で僕を見る。なんとも表現しがたい時間が、たっぷり二十秒は流れて、我慢が出来なくなって話はじめたのは、神目薫だった。

「もういいわ。続けて」

「神目貞照さんは誰にも収賄のことを話していなかったはずです。もちろんあなたにも」

「当然よね。私は思ったことをすぐに口にするタイプだもの」

神目薫は皮肉って言った。

「でも、あなたは仕送りが収賄で得たものだと知っていた。それは何故です」

神目薫は「何でだったかな」と言って、また顎に人差し指を付けて考えはじめた。

僕は眉をしかめる。神目薫を表そうとすると、どうしても未知数が出てきてしまう。

「そうよ。見たのよ。談合を。夏休みだから帰ってきてたの」

「いつ?」

「たぶん、ちょうどあなたの言う事故があったときだと思うわ」

「どんな人でしたか」

「そこまでは覚えてないわ。だって今の今まで忘れてたんだから。ところで、企業側の人は見つかってないの?」

「落札前に捕まったみたいですから」

「あら、残念ね」

「そんなことなら苦労しませんよ」