「どうしてよ?」
神目薫は首を傾げて言った。それと同時に、黒い髪がたなびいた。
「どうやらあなたは思ったことをすぐに口に出してしまうタイプの人間だからです」
「それはまたどうしてよ?」
「僕には、家まで収賄で得た金で買ったとは思えなかったからです」
「それだけ?」
「はい」と言って、僕は「あくまで直感です」と付け加えた。
「本当にこれだけでわかったの?」
「あとは……あなたが『ママは帰ってこないわよ』と言ったときです」
神目薫は顎に人差し指を付けて、上を向いた。
僕は彼女が時々行う奇行に、戸惑ってしまう。ひどくギャップがある。どちらが本当の彼女なのか、考えるだけで気が遠くなる。
「それのどこが変なの?何も間違ったことじゃないわ」
「そうですね。おかしいところはないと思います。これは個人的な違和感の問題です。僕は、あなたを思ったことは直ぐ口にするタイプの人間だと思っていました。そんなあなたがあの状況で『ママは帰ってこないわよ』なんて言うとは思えなかったんです。『ママなんて関係ないわ。これは私の問題なの』ぐらいのことを言われると思っていました。でもあなたは言わなかった。それは、余計な反発をされたくなかったから。どうせ僕が何も知らないと高をくくったから。違いますか?」
神目恵美はため息を一つして、また両膝を抱えて、言った。
「そうかも知れないわ。あのとき、あなたは危険だと思ったのよ。早く帰って欲しかった。怖かったのよ」
「後は話術の問題です。自白にもっていこうと必死でした」
「でも、あなたは私が仕送りを使わなかったことを知っていたわ」
「言ったでしょう?あなたは思ったことを口にするタイプなんです。そんなお金をあなたが使うとは思えなかった。それだけです」
今度は僕がため息をつく。そして目の前の道がまだ続いていることを確認する。先は長いかもしれない。けれど、この一歩は大きい。果てしなく。
神目薫は首を傾げて言った。それと同時に、黒い髪がたなびいた。
「どうやらあなたは思ったことをすぐに口に出してしまうタイプの人間だからです」
「それはまたどうしてよ?」
「僕には、家まで収賄で得た金で買ったとは思えなかったからです」
「それだけ?」
「はい」と言って、僕は「あくまで直感です」と付け加えた。
「本当にこれだけでわかったの?」
「あとは……あなたが『ママは帰ってこないわよ』と言ったときです」
神目薫は顎に人差し指を付けて、上を向いた。
僕は彼女が時々行う奇行に、戸惑ってしまう。ひどくギャップがある。どちらが本当の彼女なのか、考えるだけで気が遠くなる。
「それのどこが変なの?何も間違ったことじゃないわ」
「そうですね。おかしいところはないと思います。これは個人的な違和感の問題です。僕は、あなたを思ったことは直ぐ口にするタイプの人間だと思っていました。そんなあなたがあの状況で『ママは帰ってこないわよ』なんて言うとは思えなかったんです。『ママなんて関係ないわ。これは私の問題なの』ぐらいのことを言われると思っていました。でもあなたは言わなかった。それは、余計な反発をされたくなかったから。どうせ僕が何も知らないと高をくくったから。違いますか?」
神目恵美はため息を一つして、また両膝を抱えて、言った。
「そうかも知れないわ。あのとき、あなたは危険だと思ったのよ。早く帰って欲しかった。怖かったのよ」
「後は話術の問題です。自白にもっていこうと必死でした」
「でも、あなたは私が仕送りを使わなかったことを知っていたわ」
「言ったでしょう?あなたは思ったことを口にするタイプなんです。そんなお金をあなたが使うとは思えなかった。それだけです」
今度は僕がため息をつく。そして目の前の道がまだ続いていることを確認する。先は長いかもしれない。けれど、この一歩は大きい。果てしなく。


