見張りはおっくうそうに、手元の望遠鏡でそれを見る。 …ぼやけている。 彼は目をこすり、ネジで遠近を調節し、再び海を眺めた。 「あー確かになにかいやすね」 「で、なんなんだ?」 「んー…」 さらに目をこらす。 それは人だった。 「…大変や」 見張りは柱にくくりつけてある、連絡用のマイクに向かって叫ぶ。 「停止しろ!右舷10°に人がいる。溺れちまうぞ!」