人のモノ…


「待って!」



再び手を掴まれて、あたしは、グイっと引き寄せられていた。


振り向いた瞬間とても真剣な彼の視線があたしを射抜く。




「あのさ。メールのアドレス教えてほしいんだけど?」


「えっ?」



都築くんはそう言って少し照れくさそうな表情をして、距離を縮めた。



「えっと、ほら。いつでも連絡できるように。この前は番号を教えてもらったけど、メールの方がいいときもあるし、今日みたいなことがあったら気楽に相談できるだろ?」



そしてそんな優しいセリフを吐いて、あたしの手をぎゅっと握った。



「別に深い意味はないから。ただ友達として、何か困ったことがあったらいつでも連絡しろよってことで」


「………」


「いや…か?」


「…え、ううん。あたしは別に……」