『正確には泣いた振り』
だけれど…
それからしばらくして、そっと顔を上げると、とても心配そうな顔をした都築くんがあたしを見つめていた。
そしてそんな彼から名残惜しそうに一歩離れたあたしは
「ありがとう。もう、大丈夫だから……」
そう言って、儚げな笑みを向ける。
「本当に大丈夫?」
「……うん、ごめんね。突然のことだったとはいえ、こんな風に都築くんに甘えちゃうなんて……、凛子さんに悪いことしちゃった」
「いや、別に凛子のことは……」
「ううん。本当にごめんなさい。今日はもう一人で大丈夫だから都築くんも帰って。凛子さんも夜には帰ってくるんでしょ?」
「…ああ。でも……」
「じゃあね」
まだ何か言いたそうな都築くんを振り切って、あたしは彼から背を向けた。
そしてよろよろと歩き。マンションの中に入ろうとしたとき――



