ドキン…
その瞬間彼から香ったシトラスの香り…
ふいに飛び込んできた彼の視線に、あたしは驚きのあまりゴクリと息を飲む。
「あのさ。聞いていい?さっきの奴が例の西條さんの……」
「…うん。彼なの……」
弱々しく頷いて、あたしは全身から力を抜いた。
そして再び涙をこぼし、俯き加減でぼそりと口を開く。
「本当最低……っ。ごめんね。なんかへんな所みせちゃって」
「いや……」
「ぅ……どうしよう?あたし振られちゃった、みたぃ」
そう言って、あたしはどうしていいか分からない素振りで都築くんの胸に顔を埋めた。
そんなあたしを黙って受け入れてくれる都築くん。その腕の中がなぜか想像以上に温かかったから
「ごめっ、ちょっとだけ胸かしてくれる?」
ぎゅっと抱きつき、あたしは待ってましたのばかりにわんわん泣いた。



