人のモノ…


まるで悲劇のヒロインを演じるような気分だった。


あたしは内心笑いをこらえ、真っ直ぐにマンションまで走りだした。



楽しい。


めちゃくちゃ楽しい!


そう一人で優越感に浸っていると



「西條さん!」



背後から手を掴まれて、グイっとおもいっきり引き寄せられた。



「ちょっと待って!」


「っ!!」



引っ張られたあたしは、あっと転びそうになってしまう。


それを両手で支える都築くん。


あたしの手首を掴む力が思いのほか強くて、あたしはやっぱり嬉しくてにやけてしまいそうになる。