人のモノ…




計画した通りの男が何食わぬ顔で立っていたから――







「――は?美華!?」



信号が青に変わり、正面から向かってきた男がすかさずあたしを見て驚きの声を上げた。



予定通り…


全身パリッとしたスーツ姿の彼と目が合った瞬間、あたし達は暗黙の了解でその場の空気を一気に変えた。



「…なんで?今日は残業で遅くなるって……。その人は……誰?」



動揺で声を震わせてみせる。


目の前の彼の顔がみるみると強張っていく中、隣で手をつないだ女が不思議そうな声を上げる。



「え?何?大輔君どうしたの?」



少し高めの可愛らしく優しい声。


綺麗というより、可愛らしいといった顔立ちをしたその女は大輔の本当の彼女…


そしてあたしの共犯者。


親しげに寄り添う2人の姿は誰から見たって、きっと仲よさげのカップルに見えるはず…