「これ、けっこういい香りだもんね。実はあたしも好きなの。よかったら使ってみて」
目を見開く彼に思わず笑ってしまった。
「ね。その代わり……。って言ってはなんだけど、また恋人のことで相談にのってもらえると嬉しいな?」
「え?」
「ダメ?もしよかったらでいいの。あたし友達少ないから都築くんみたいな人に聞いてもらえると正直嬉しいなって」
「………」
「ほら、凛子さんとも仲良くできたら嬉しいしね」
「ああ……うん。そっか。分かった。あんまり役にはたてないかもしれないけど、西條さんがそう言うなら俺はべつに…」
「本当!やった!ありがとう!!じゃあ凛子さんにもよろしくいっといてね!」
頷いた都築くんに手をふって、あたしは満足げにマンションの中に入った。
ふふ。
簡単、簡単。
とりあえず今日はここまでできれば上出来ね。
もっと手こずるかと思ったけれど、思いのほか順調に進んでくれたわ。
……うん。
この調子でもっともっと明日から楽しまなきゃ。