「いろいろとごめんね。今日は本当にありがとう」
「いや、とりあえず元気だして。じゃあ……」
「あ、待って!都築くん!」
背中を向けた彼に向かって、思わず声を張上げたあたし。
振り返った都築くんに目掛けて、あたしは思い出したように手の中のものを差し出した。
「えっと、これ」
そう言って手渡したのは、さっきブランドショップで買ったメンズものの香水。
実はこっそりと、財布と一緒に買っておいたものだった。
「よかったら使って?」
「え?」
「今日のお礼に……。てか、都築くん。この香水さっき興味深そうに見てたでしょ?」
驚いた彼に、柔らかな笑顔を向けた。
用意周到…
これぐらいのことはやらなきゃ、女がすたるってものよ。