人のモノ…


「と、とにかく!一度彼とちゃんと話し合った方がいいって!話しはそれからじゃない?」


「……うん。そう、ね…」



涙を拭いて、そっと頷いた。



……あたし、このまま女優にでもなれるんじゃないかしら?


心の中でそんなふうに笑いながら、最後に小さく息を吐く。



そしてそのまま沈黙が流れて、たどり着いたマンションの前。



「えっと、ここだから…」


「そっか」



ぎこちない表情をつくり、都築くんを見た。



「あの…、なんかごめんね。泣くつもりはなかったんだけど、急に止まらなくなっちゃって」


「いや……、とりあえず彼のことはもう少し様子見た方がいいんじゃない?」



にっこり頷いて、頭を下げる。


もうすっかり辺りは薄暗く、ぽつぽつと街頭が付いていた。