人のモノ…


「西條さん……」



都築くんの動揺した声が聞こえる…。


いいわ。想像通りの反応してくれるじゃない。


顔なんか見なくても、彼の焦った様子が手に取る様に分かるもの。


あたしはそれに拍車をかけるように、っ…と、喉から震える声を出した。



「だ、大丈夫だよ!きっと何か理由があるんだって!」


「………」


「ほら、ただの同僚とか?えっと…、何か訳ありなのかもしれないし!」


「っ、訳ありって何?ただの同僚なのに手なんか繋ぐの?」


「う。そ、れは……」



涙ぐみながら、都築くんを見た。


ハッと視線がぶつかり合ったとき、目の前の顔がひどく歪む。



――くす。
これは想像以上に動揺してるかも。



面白い…


面白すぎて何だかもっと苛めたくなっちゃうわね。