人のモノ…


弱々しい声を出して、眉を下げた。


瞳には溢れんばかりの悲しみを浮かべて、都築くんの反応を覗ってみる。



「……え?」


「ここのところね。忙しいってなかなか会ってくれないの。携帯に電話してもすぐにきられちゃって」


「確か、西條さんの彼って年上の社会人って言ってたよね?」


「……うん。彼、ね。今大事な案件を抱えてて、毎日遅くまで働いているみたいなんだけど……」


「だったら、仕事なら別に心配することないんじゃない?」


「ううん。違うの。そうじゃないの」



あたしは切羽詰まった声をこぼし、首を横に振った。


じわり、涙をこぼすタイミングを見計らいながら



「あたし……、見ちゃったの」


「えっ、何を?」


「彼が残業で遅くなるって言った日にね。繁華街で知らない女の人と手を繋いで歩いてる所を……」