人のモノ…


それから――



「西條さんこれは?」


「うーん、そうねぇ…。できればもっと落ち着いた色の方が……」


「そうだなぁ。じゃあこっちは?このデザインならけっこう男うけはいいと思うけど?」


「あ、本当ね。可愛いわ!色も濃いブラウンで彼にあいそうよ!」


「じゃあ、これにする?」


「そうね。いいわ!気にいったわ!じゃあ、これラッピングしてもらってくるから少しまってて」





それから10分後。
買い物を済ませ外に出た頃には、もうすっかり辺りは薄暗くなっていた。


夕焼けの帰り道、都築くんと一緒に電車へと乗り込む。



「今日は本当にありがとう」


「いや…」


「なんだかいいように使わせちゃったみたいで……、逆に酷いことしちゃったかしら?」


「いや」


「やだぁ。何だかさっきから「いや」しか言ってくれないのね」



クスッと笑って見せると、隣から「あー…」と苦笑い気味の声が飛んでくる。