なによ。
何なのよあれ…
だって違った。
今までの警戒心ゼロのような純粋な笑みじゃない。
まるであたしの思惑をすべて知ったような。
なにもかも分かったような仕草……
「西條さん?どうかした?」
「えっ?」
都築くんに声をかけられて、あたしはハッと我にかえる。
急に固まったまま動かなくなったあたしを不思議そうに見てるようだった。
「あ、ううん。なんでも……」
そう言ってもう一度窓の外に視線を向けると、そこには凛子の姿はもういなかった。
思わず顔を歪めるあたし。
少し気持ちを落ち着かせようと、目の前のコーヒーに手を伸ばす。



