人のモノ…


なかなか気が効くんじゃない。


いい心がけね。


自分の恋人が狙われてるのにも関わらず、なんて甘ちゃんなのかしら?


警戒心がないのにも程があるわよ。


ま、あたしはラッキーって感じだけど…



「……じゃあ、気を付けて行けよ……」


「うん。西條さんもまた。本当ごめんなさいね」


「いえ、こちらこそありがとう」



満面な笑顔を向けてあたし凛子を見送った。


純粋に顔がほころぶ。


もう一生帰ってこなくていいわよ。


向かいで神妙な顔をする都築くんを横目で確認しながら、あたしは窓の外から凛子の後姿を目で追っていた。