人のモノ…


別に嫌いじゃないわね。


ナチュラルな爽やかコーデはむしろ好きなほうだもの。


そんな彼を見つめながら「ごめんね。待ったかな?」そう言って歩み寄ったあたし。


――もし、万が一服装がダメダメなら、すぐに背を向けてそれはあっさりと引き返すところだったわよ。


いくら顔がよくても、ファッションおんちなんて問題外だもの。


まさに100年の恋も冷めるってものよねぇ。




「あ、いや……俺も今来たところだからそんなに待ってないよ」


「そう、それはよかった」



彼の目の前に立って、ニッコリ笑う。


一瞬顔がほころんだのもつかの間



「こんにちは」



後ろからひょっこり現れた人物を見て、ああ、っとあからさまに顔が曇っていく。