それでもまぁ…
「別にいいわ。これ以外に服なんて腐るほどあるし」
なんならまた違うやつを買えばいいだけの話し。
なによりお金なんて捨てるほどあるんだから…
「それより、ねぇ、あな……」
「ちょっと、悟?なにやってるの?」
背後から、ちょうど重なるように声が聞こえ、あたしは途中で言うのをやめた。
コツコツと聞こえてくるヒールの足音。
見るとそこには、花柄のワンピースにベージュのロングカーディガンを羽織った細身の女性がこっちに向かって歩いてくるのが見えて
「ああ、凛子こっちこっち実はさ……」
イケメンが焦った様子で彼女を呼びよせる。



