「―――」
そんなことを思った時、反対側の歩道を見た瞬間、あたしは見慣れた容姿を見つけて立ち止まった。
その姿ははっきりと分かる男女2人。
西條美華と、都築悟…
今しがた噂でもちきりになっていた張本人の姿だと気付く。
悟が美華の腰を引き寄せ、寄り添うようにして歩く2人。
それは一見遠目から見れば誰もが羨むぐらいの仲のいいカップルに見えた。
……けど、実際は違う。
よーく目を凝らして見ると、今にも転びそうな美華を悟が懸命に抱きかかえてるような感じだった。
確かに、覇気なんてない。
むしろ衰弱し、顔は青白く、髪はボサボサ。気を抜いたら今にも倒れてしまいそうなほど弱々しいものだった。
「本当、まるで別人ね……」
想像していたよりはるかに酷い光景に、あたしは少しばかり目を見開く。
悪の根源、都築悟と言えばそんなみすぼらしい彼女をとても愛しそうに見つめていた。
もはや、彼女以外は何も目に入らないというような真っ直ぐな眼差しにブルッと身震いが起きるほどだ。



