――…それから数カ月後。

凛子は大学のカフェテリアで数人、友人達と穏やかな笑みでお昼を楽しんでいた。

雲一つない真っ青な空。

少し汗ばむぐらいの天気の中、凛子はクーラーのきいた店内で涼しげにパンケーキを口に運び、会話を弾ませる。


「ねぇ、凛子最近また綺麗になったんじゃない?」

「え?本当?」

「うんうん。私もそれは思ったー。ここのところ生き生きしてるって言うか、ますます美に拍車がかかった感じ?」

「なんだか吹っ切れたって感じがしてすごくいい顔してるかも」

「ふふ、ありがとう」


お世辞でも嬉しかった。

凛子は可愛らしく頬を赤くしてゴクンと紅茶を流し込んだ。

実際、悟と別れてからというもの今まで見ていた全ての景色がパァッと新鮮で輝いて見えた。

自由ってなんて素晴らしいのかと。

束縛のないありのままの時間。

何も考えず、恐怖もなにもない世界。

こうして友人たちと過ごす何気ない時間がとても幸福なことなんだと20になって改めて痛感させられた。