ニヤリと口元を歪ませて、彼があたしの上に馬乗りなる姿を見つめながら、体の底から深い恐怖が押し寄せてくる。
「美華、愛してるよ」
愛しむように見下ろされ、ナイフの先でほほをなぞられたあたしは、まさに捕らえられた獲物のよう…
「…だ、れか、助けてっ」
そんな叫びももはや誰にも届かない。
もう何もかもが手遅れだった。
あたしは彼の絶好の餌食…
これが歪んだ略奪愛の結末。
彼の異常な独占欲と支配力の中で、あたしはもがき苦しみ、この先まともな生活なんてできないだろう。
「美華。ほら笑って?」
「ぁ…や……」
「夜はまだまだこれからだよ。今からうんと可愛がってあげる。沢山君を愛してあげるからね」
強引に唇を塞がれて、体の自由をあっけなく奪われたあたしにはもう抵抗する希望さえ残ってはいなかった。
目の前が涙で滲み
屈辱の闇で埋め尽くされたあたしの目の前には恐ろしいぐらい爽やかな彼の笑顔しか映ってはなく
「ああ、いっそ殺してしまいそうなほど綺麗だよ」
「――――っ!?」
待ってるのは地獄だけ。
誰も助けに来ない残酷な部屋
あたしは彼の手によってただただ運命を支配されていくことしか許されてはいなかった。