「ああ、美華の足はいつ見ても綺麗だね」
彼がチュッと足の指先にキスを落とし、そのまま上目づかいで見られたあたしは全身に鳥肌がたった。
「――!?」
気持ちが、悪い。
まるで世にも恐ろしい光景を見ているようだった。
きっとこれから地獄が待っている。
本能的にそれだけは感じた。
この先起こり得る状況を想像しただけで、絶望という闇にのまれ、目の前の景色が真っ暗に染まってくようだった。
「美華、可哀そうに。ずいぶん体温が冷たくなってるね」
「やっ、触らないでっ」
「大丈夫。俺が今から温めてあげるよ。ほら、こっちにおいで」
「や、だ……」
彼の手が足首からふくらはぎに移動した瞬間、あまりの嫌悪感であたしは足をばたつかせた。
手元が解放されて、咄嗟に掴んだ枕を彼に投げつければそれを交わした都築くんが再び鋭い眼差しであたしに向かって手を振り上げる。



