「ぅ……」 どうしよう。 あたしが、バカだった。 あの時、凛子が言ってたことは本当だったんだ。 これが彼の本当の姿… ガラリと変わり果てた冷酷な瞳、そして優しさのかけらもないかすれた口調。 これが本当の彼の姿なんだ… ――だけど、そう思ったところでもう遅い。 密室に閉じ込められ、手錠をかけられたまま両手を頭上で拘束されているあたしにはもう逃げるすべなんて残ってはない。 唯一の助けを求める携帯のデーターも全てを消されてしまった今の状況のあたしには絶望という言葉しか残ってはなくて…