全身に嫌悪感が広がる。
彼の顔がまともにみられない。
1秒でも早くここから出たいのに
「美華」
再び腕を掴まれたあたしは、ぐいっと彼の胸に抱きとめられる。
その衝撃で彼にぶつけた枕が手元から離れ、ベッドからあっけなく床に投げ落とされる。
「どうしたの?さっきから本当に変だよ。何が気に入らない。ひょっとしてこの鎖がお気にめさなかったのか?」
「あ、当たり前でしょ!?こんな非常識なもの、あたしが本気で喜ぶとでも思ってるの!?」
抱きしめられた体に緊張がはしる。
あたしは「離して!」と力いっぱい彼の胸を押し返そうとした。
さっきまであんなに心地よかった彼の胸が、今じゃ気味の悪いものでしか思えない。
「こんなのいらない!いいから早くこれを外してよ!」
キッと彼を睨んだ。
すると強く出た声に、彼が一瞬無言の素振りを見せる。
そして次の瞬間、回された腕がゆっくり緩み、体が自由になったと思ったら
「…そうか…、分かった」
数秒後おもむろに立ち上がり、あたしの足元に視線を向けた。



