あたしはもう一度ゆっくり深呼吸をして、気持ちを切り替えるように彼の肩に頭を寄せた。
彼の大きな手があたしの頭を柔らかに撫でてくれる。
――うん。好き。
あたしは都築くんが好き。
もう変なことは考えちゃダメ。ダメよ美華。
せっかくのデートなんだもん。
ちゃんと今ここで、彼との甘い雰囲気をしっかりと味あわないと…
「ふっ、美華はいいよ。素直で本当に可愛いよ」
「え、ありがとう。……でもね、それって誰かとあたしを比べてるの?」
それから都築くんが注いでくれたビールで乾杯したあたし達。
ソファーを背に、寄り添うようにグラスを口から離したあたしはムクッとほんの少しだけ納得いかない顔を向けた。
「はは。まさか、ただ単純に今素直に思ったことを言っただけだよ」
「ふーん。本当かなぁ~」
そう言ってほろ酔い気分で彼の顔を覗き込む。
一瞬凛子の顔が浮かんだけど、すぐにまた遠くの方へと追いやった。
だって、あんな女と比べられただなんて1秒でも思いたくない。
なによりあたしのプライドが許さない。
「ふっ。本当だって、ほら、機嫌直して」
グラスを置いた都築くんに、不意打ちのキスをされる。
「も、そんなのじゃ誤魔化されな……」
深いキスをされて、彼の腕の中にすっぽりと収められた。



