人のモノ…


「ほら、見てごらん。俺の携帯もちゃんと整理しておいたよ。これで美華も安心できるだろ?」


嬉しそうに笑う彼。

あたしはえっと絶句する。

目の前に映し出された携帯の画面。

確かにそれは間違いなくあたしの名前だけが登録されていて、他は誰ひとりとして入ってはいない。

まるでそれが当たり前のように…


「これでもう他の奴に邪魔されることはない。俺は美華だけのモノだよ」

「―――」

「これからはずっとずっと俺にだけに本音を見せればいい。他の男なんかに連絡なんてする必要なんてないんだから」


グイっと肩を引き寄せられて、ドクンッと嫌な鼓動を感じたあたし。

優しくこめかみにキスをされながら、なぜか携帯を持つ手に変な汗がにじみ出した。


「…あ、の……」

「ん?」

「えっとせめて、女友達ぐらい…、家族の番号ぐらいはいいわよ、ね?」


本当はもっと違う言葉を言うつもりだった。

こんなの違う。

人の携帯を勝手にいじるなんて最低よって、いつものあたしみたいに強気に彼を攻め立てるつもりだった。

なのに出てきた言葉はこんな言葉。

どうしてか躊躇してしまう。

さっきから表情変えずに穏やかに笑う彼。

それが逆に妙な圧迫感を感じ、頭の片隅で変な危険信号を発していた。