人のモノ…


「もちろん、俺の番号だけもう一度入れ直してね」


そう言って、当たり前のようにゆらりと笑った都築くんが隣に座る。

あたしは茫然として、そんな彼にただ瞬きすることしかできなかった。



「…なに、言ってる、の?」


思わず動揺した声を彼に向けた。
手元には彼の番号しか入ってない携帯電話。


だって、消した…の?

あたしのメモリーを全部?

それってつまり


「勝手に、携帯見た…の?」


思い出すのはさっきのお店での真剣な瞳。
左手に携帯電話を持った彼の姿…


「まあね。ロックをかけてないなんて不用心だなって思ったけど、でも、そのおかげでこうしてちゃんと整理できたからホッとしてるよ。美華だってスッキリしたんじゃない?」

「―――」


返す言葉が見つからなかった。

ていうより、彼の言葉がうまく把握できない。

ううん。それどころか何も変わらない彼の笑顔に、自分の顔がかたく硬直していくのが分かる。