「美華」
顔を上げると、いつの間にか都築くんが目の前に立っていた。
彼は両手に透明のグラスを持って
「そんな顔してどうかしたの?」
爽やかな顔をして、あたしの顔を覗き込む。
「……えっと、これが……」
「ん?」
「携帯、データーが……」
パニックになりながら、視線を合わせると彼がグラスを置いて、あたしに近づいてきた。
「ああ、それなら俺がちゃんと消しておいたよ」
「えっ」
「ダメだよ、美華。恋人ができたら携帯のメモリーはちゃんと整理しておかなくちゃ」
「えっ…」
「見たらビックリしたよ。メモリーの中ほぼ男の名前だらけじゃないか。本当は順番に消そうと思ったんだけど止めたよ。時間がかかりそうだったから、まとめて一括で消去しておいたよ」



