そ、そうよ。これが都築くん。
彼なのよ。
いつも一定のリズムの中にいるような穏やかな彼が、まさか……ね。
やんわりと手を握られて、何となく我にかえるあたし。
そんな温かさに緊張の糸がジワリと緩み、ようやくバカバカしい考えがゆるりと脳裏から消えていった。
「ん、ありがと……」
そして彼の手をそっと握り返す。
だって、こんなに優しい笑顔を向ける人が暴力なんて振るうはずがない。
こんなに澄みきった瞳をしてる人がそんなひどいことするわけがないじゃない。
やっぱりあれは凛子の狂言。
あたしを陥れるための戦略だったのよ。
うん。きっとそうね。
じゃなかったら、こんな愛しい目であたしを見つめたりなんかしない。
初めて、本気で好きになれた人…
あたしは、目の前にいる都築くんの言葉だけを信じるわ。



