「あ、うん。実はね。ここで友達にちょっと相談を受けてたの。そしたら帰るとき、不注意で転んじゃって」
咄嗟に嘘をついて誤魔化した。
だってまさか、今まで凛子と会ってたなんて言えない。
それこそ「何を話してたの?」とか聞かれてもこの心境で上手く答える自信なんてないし…
「ふ~ん。……友達?」
「えっ、うん。その子彼氏のことでひどく悩んでてね。それでずっと話しを聞いてたの。ほら、ここだったら静かだしゆっくり話せるでしょ?」
何でだろう。
今の今だから?
凛子に言われた言葉が脳裏に強く残り、ちゃんと都築くんの目を見て話せない。
これじゃあまるで凛子の言葉をうのみにしてるようで、何だか心がモヤッとした。
「そっか。なら安心した。ひょっとしたら美華に何かあったんじゃないかって心配してたからさ」
「えっ」
「まぁ、美華が元気そうでよかったよ」
クスっと笑った都築くん。
そのまま肩をポンポンと叩かれてハッとさせられたあたし。
あ…
それはいつもの笑顔。
優しい眼差し…
そんな柔らかな笑顔を向けられて、あたしはじんわりと肩の力を撫でおろした。



