タンクトップを胸のあたりまで捲り上げた凛子を見て、あたしの顔がさらに青ざめていくのが分かる。
「なっ――」
「いい?これが彼を無視して勝手に出かけようとしたときに与えられた罰なの。そしてこっちのみぞおちの所は彼以外の男性とほんの少し、たった一言会話しただけの時に殴られた理不尽な傷よ。
そしてこれは………っ。
思い出すのもバカバカしい、コンビニでお釣りをもらう時、男性店員と少し手が触れた時にできた嫉妬に狂った彼の愛のムチなの」
ドクン…
なぜか自分の鼓動が異様な早さで増していくのを感じた。
凛子の顔が苦しみの色で黒く染まり、ひどくゆがんでいくのが分かる。
うそ……
あたしは思わず一歩後ろに下がり、動揺を悟られないように声を上げていた。
「う、そよっ!そんなのでたらめよ!そんなふざけた話し……、バカげた話をあたしが信じると思ってるの!?」
そうよ。だってあの都築くん。
いつも笑顔で穏やかで。からだ全体から優しさが滲みでてるような人がDVを?
そんなことをするわけがないじゃない!
そんなの想像すらできやしない!
「い、くらあたしが憎いからって、そんなくだらない話し……、よくもそんな突拍子もないことが言えたものだわ!」
バカバカしいのもほどがある!
そんなふざけた話しであたしが簡単に納得すると思ったら大間違いなんだから…



