人のモノ…


パサリ…

「えっ……」

淡いベージュカラーのカーデガンの中から顔を出した肌。黒色のタンクトップから伸びた腕を見た瞬間、あたしの目はハッとしたように見開いた。


―――なに、これ。


そしてさっき以上に言葉を失った。


「ど…したの、それ?」

「何だと思う?言っとくけどあたしが転んでできたものなんかじゃないわよ」


そんなのは見ればあたしにだって分かる。

ううん。きっと誰が見たってそん風には思わない。

だってそれぐらい目に映ったのは…



「酷い……」


両腕全体に刻まれた痛々しい痣の痕。

それはあまりに生々しくて、そして残酷で。誰かに殴られたっていうのは一目瞭然だった。


「これ、全部あの男にやられたのよ」

「えっ」

「これだけじゃない。他にも体中いたるところにあるの。彼に殴られた傷跡が……。よかったら見る?この際ちゃんとじっくり見せてあげるわよ」