「面白かったわ。あたしの罠だとも知らずにあなたはムキになってあたしから彼を奪おうとした。ほんの少しあたしが釘をさせばそれに必死になってより彼に誘惑をかけて………。
ふっ、それが可笑しくてあたしは内心いつも笑ってた。最高にい気分だったわ」
「何でそんなこと……」
あたしは目を丸くした。
「本気で大丈夫?」
そしてそんな言葉を彼女に吐き出して、怪訝な顔を向けていた。
まったく理解できない。
だってそうでしょ?あたしと都築くんをくっつけたかったなんて、そんな馬鹿げたこと…
「ええ。大丈夫よ」
「うそ……、あなたおかしいわ!だって、都築くんのことが好きなんじゃないの?あんなに仲良さそうだったじゃない!」
そうよ。普通に考えて納得できることじゃない。
絶対変に決まってる…
「ええ。好きよ」
「だったら…」
「でも、それは表向きの話しなの」
「は?」
表、向き?
「だってあたし、本当のあたしは彼をこれっぽっちも愛してないもの。むしろ恐怖。できるなら1秒でも早く別れたくてしょうがなかったのよ」
「なに…、言ってるの?」
次第に凛子の顔が歪んでいき、あたしはゴクリと息をのんだ。
クスリ、笑った凛子が着ているカーデガンのボタンに手をかけ、それをゆるりと脱ぎ出した。



