人のモノ…


―――計算通り?

鼓膜に突き刺さった甲高い声にビク付いたあたし。

凛子の腕がぎゅうぎゅうとあたしの首元に圧をかけ、あはは。と笑う声がよりいっそう強くなった。

まるで異様なぐらい…

ガラリと変わった凛子の様子に、あたしは唖然と瞬きを繰り返し、そして動けなくなってしまい


「ありがとう。悟を誘惑してくれて」

「えっ…」

「やっぱりあたしの思った通りだわ!さすが西條美華ね。想像以上の結果だわ」


もう一度首元にぎゅうっと圧がかかり、ゆっくりと凛子の体温が離れていく。


「本当正解よ。あなたにターゲットを決めてよかったわ」

「?……ターゲット?」

「だってこうなる様に仕向けたのは全部あたし。最初からカフェであなたに近づけさせたのも。あなたと悟をくっつけようとしたのはぜ~んぶあたしなんだから」


ニヤリ、凛子が満面の笑みで笑う。

ますます意味が分からなくなった。

だって、くっつけたかった??あたしと…都築くんを?

さっぱり状況がつかめない。

やっぱり、この女頭でもいかれたんじゃ…

そうとしか考えられない。