人のモノ…


「ええ。もしそうだって言ったら?」

「ふっ。受けて立つわよ。いつでもどうぞ。……でも、そんなことしたって状況は何も変わらないと思うけど」

「凄い自信ね」

「だって、彼に愛されてるって自信があるんだもの」

「悟と…寝たの?」

「さぁ?そこまでは言えない。ご想像にお任せするわ」


沈黙が流れ、凛子が何かを考えるように無表情になった。

きっと言わなくたって、彼女には分かってるはず。

だってあの日。彼は何度もあたしを抱いた。あたしと同じシャンプーの香りをぷんぷんさせて凛子の元へと帰ったんだから…


「ふっ…おめでたい人…」

「ありがとう。よく言われるわ」

「嬉しい?あたしから彼を奪って」

「ええ、とても。最高にいい気分だわ」


まさに天にも昇る思い…


「もう諦めなさい。彼はあたしのモノよ。あなたには返さない。だってあなたはあたしに負けたのよ。観念して素直に引き下がった方が身のためよ」


もう、完全に彼はあたしのとりこなんだから…