「少し顔貸してくれるかしら?」
「ええ。いいわよ」
まってましたとばかりにあたしは言葉を返す。
そしてあたし達は無言のまま人気のない裏庭へと足を向けた。
相変わらず凛子の後ろ姿は穏やかなものではなかったけれど、あたしはそんな姿をあざ笑うかのように彼女の背中について歩く。そして――…
「――先週、悟から別れようって言われたわ」
「あら…、そうなの?」
「他に好きな人ができたんだって。西條さん、あなたのことよ。ごめんって何度も謝られたわ。どうしようもなくあなたを好きになったからって」
「へ~……」
思わず顔がにやけそうになった。
凛子の顔が面白いぐらい殺気立ってるのが分かる。
2人の関係がついに壊れた……。それを実感するだけで体の底からムズムズと嬉しが込み上げてきそうだった。
「――で?あたしにどうしろって?まさか、悔し紛れに喧嘩でも申し込もうって言うの?」
ピクリ。凛子の表情が強張った気がした。
あたしは余裕の笑みでん?っとそんな彼女に挑発的に首を傾ける。