人のモノ…


そしてまた大粒の涙がこぼれ落ちる。

正直これが演技なのか、それとも本心からくるものなのか、この時自分でもよく分からない状態になっていた。

演技と言えば演技。

だけど、それとは別の感情も溢れてくるのも確か…


「うっ……」

「ごめん。やっぱり…迷惑、だよな?」


そんなあたしを見て困惑する都築くん。


「っ、違うのっ……」

「いや、無理しなくていいよ。この際迷惑なら迷惑ってはっきり言ってくれたらいい。正直めちゃくちゃなことを言ってるのは俺だし」

「ちがっ、嬉しいの!」

「えっ」

「嬉しすぎてあたし……っ、どうしたらいいの分からなくなっちゃってっ」


思わず声を上げる。

あたしはゆっくりと顔を上げ、彼と視線を合わせた。

多分、ここからが正念場。

これできっとあたしの今までの苦労は報われるはず。

都築くんは完璧にあたしのものになるんだわ。

そんな勝利に満ちた思いを込めて


「あたしも都築くんが好き。ずっとずっと好きだったのっ」


そう言った。