都築くんの鼓動がとても早い。
そして抱きしめてくる腕も目眩がするほど熱い。
それはまるで、何かを決意したかの様な、そんな迷いのないようなもので
―――凛子と別れる。
彼は確かにそう言った。
言ったわよね?
この耳元で、しっかりと届いた彼の言葉…
「本当はさ。もう潮時だったんだ」
「え?」
顔を上げようとすると「そのまま…」と、都築くんがあたしをそっと制止させた。
「本当のこと言うとさ、最近は凛子とはも上手くいってなかったんだ。ていうより、俺が美華のことを好きになったから。って言った方が正しいんだけど…」
言いながら、都築くんの手があたしの背中を撫でる。
「…あた、しを?」
「ああ。もう凛子と居ても俺の脳裏に浮かぶのはいつも楽しそうに笑う美華の笑顔。正直凛子といて楽しいけど、なぜかときめかない。
一緒にいてやばいぐらい気持ちを持ってかれるのは西條さん。いや美華なんだって…」



